日本の公的医療保険制度について
国民皆保険制度、という言葉を聞いたことがありますでしょうか。
国民皆保険制度とは、すべての国民が何らかの公的医療保険制度に加入し、お互いの医療費を支え合う制度のことです。
この制度により、いつでも、誰でも、少ない費用で必要な医療を受けることができています。
本日はその公的医療保険制度について、どのような種類があり、どんな特徴があるのかを見ていきましょう。
主な公的医療保険
公的医療保険は、病気やケガなどをした際に医療費の一部が負担軽減される制度です。
これらは職域や年齢などに応じて大きく3つの種類に分けられます。
①国民健康保険
②被用者保険
③後期高齢者医療制度
ひとつひとつ見ていきましょう。
国民健康保険
国民健康保険は、市区町村が運営する医療制度です。
主な加入対象者は、自営業者、農業従事者、非正規労働者、74歳までの高齢者などです。
保険料は、世帯ごとに前年の収入や年齢などをもとに計算され、世帯主がその全額を負担します。
その計算方法は自治体ごとに異なりますので、詳しい計算方法が知りたい方は各自治体のウェブサイトをご確認ください。
また、自治体によっては簡易自動計算が出来るページやエクセルシートを公開しているところもあります。
被用者保険
被用者保険とは、会社員などの被雇用者が加入する健康保険のことをいいます。
社会保険と言ったほうがおそらく耳馴染みは良いでしょう。
これらは主に、健康保険組合、全国健康保険協会、共済組合、船員保険の4つに分類され、
加入対象者は以下のようになっています。
保険料は、本人の標準報酬月額によって定められ、毎年4月から6月の給与を元に改定が行われます(月額算定)。
国民健康保険は保被保険者の世帯主が全額を負担するのに対し、被用者保険は会社と被保険者が保険料を折半して負担します。
保険料は毎年それぞれの組合や協会のウェブサイトで公開されますので、
新年度や給与に変動があったときなどは見てみるとよいでしょう。
参考URL:令和3年度保険料額表(協会けんぽ)
国民健康保険と被用者保険の大きな違い
これまで述べた国民健康保険も被用者保険も、病院で治療を受けるという点に関しては特に大きな差を感じることはありません。
どちらも窓口負担は3割であり、1ヶ月の医療費が上限額を超えた際にはその超過分が支給されます(高額療養費制度)。
しかし、扶養家族や保障などを見ていくとそこに大きな違いがあります。
①被扶養者の有無
国民健康保険は加入者一人ひとりが被保険者となります。
そのため世帯で加入する家族の人数だけ保険料も増加します。
しかし、被用者保険では配偶者や子どもを扶養家族に入れることができ、
被保険者一人分の保険料で全員が加入者となれます。
②手当金の有無
被用者保険は、休業する際に手当金を受け取ることが出来るのも大きな特徴です。
ケガや病気をしたときの傷病手当金、出産をしたときの出産手当金などがそれに当たります。
国民健康保険にはそのような保障を行っている市町村が少ないので、民間の医療保険などで補う必要があります。
後期高齢者医療制度
国民健康保険と被用者保険が主に74歳までの現役世代が加入するものであるのに対し、
後期高齢者医療制度とは、主に75歳以上の高齢者が加入する医療制度です。
また、寝たきりなど一定の障害を持つ高齢者も対象です。
窓口負担は国民健康保険と被用者保険が3割であるのに対し、こちらは1割となっています。
保険料は、所得に応じて負担する「所得割」と、
被保険者が均等に負担する「被保険者均等割」の合計となっており、高齢者個人単位で負担します。
都道府県ごとに後期高齢者医療広域連合が設置され、保険料が定められており、
こちらもウェブサイトにて算定方法や保険料試算のページが公開されています。
参考URL:令和3年度保険料試算シート(鹿児島県)
それぞれの保険比較表
簡単にまとめたものが以下の表になります。
いかがでしたでしょうか?
誰もが一人ひとり保険証を持ち、その恩恵に預かっている医療制度ですが、
加入している保険について深く考えることはあまり無かったと思われます。
一度自分の加入している保険制度について詳しく調べてみるのもいいかもしれませんね。
今回は日本の公的医療保険制度について、大まかな種類とその概要について軽く説明致しました。
次回からは公的医療制度の中でも、事業主さまに最も関係のある被用者保険について
強制適用になる事業所かそうでないか、被保険者の加入条件、被扶養者の加入条件
について説明していきます。
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