雇用保険の被保険者となる条件について
社会保険の加入条件については、ご説明しましたが、
今回は、雇用保険の加入条件についてお話していきたいと思います。
雇用保険が適用される事業とは
まず、事業自体が適用対象となるかについて、
社会保険では、法人や5人以上常時雇用する個人事業(非適用業種を除く)
といった条件がありましたが、雇用保険ではどうでしょうか。
雇用保険においては、「労働者が雇用される事業」が対象となります。
下記の雇用保険の被保険者となる従業員を雇用したときは、必ず、雇用保険の手続きをする必要があります。
なお、手続き上、労災保険+雇用保険=労働保険となりますので、労働保険の手続きもすることになります。
(下記「雇用保険加入の手続き」参照)
*労災保険は、雇用保険の被保険者となる従業員でなくても、従業員を雇用すれば必ず加入しなければなりません。
雇用保険の被保険者とは
次に、その雇用した従業員が雇用保険加入条件を満たしているか、確認しましょう。
なお、加入条件を満たしていたら、労働者の意思に関係なく、加入しなければなりません。
・所定労働時間が週20時間以上である(※シフトの場合月87時間以上)
・31日以上雇用する見込みがある
・季節的に雇用される者(農業・水産業・造酒業などで、雇用期間が4か月以内の者)でないこと*
・学生でないこと*(夜間学生、卒業後も引き続き雇用する予定の者は被保険者となります)
・漁船に乗り込む船員でないこと*
*加入できるケースもあります。
雇用保険加入の手続き
従業員を雇用したら、
1.「労働保険保険関係成立届」と「労働保険概算保険料申告書」を労働基準監督署に提出します。
2.受理された「労働保険保険関係成立届の控え」と確認書類を添えて、
「雇用保険適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」をハローワークに提出します。
※初めて雇用する従業員が上記の雇用保険加入条件を満たさない場合、2の提出は必要ありません。
届出書類は、お近くのハローワークでもらいます。
2の届出様式については、ホームページでもダウンロード可能です。
[雇用保険関係の届出様式]
https://hoken.hellowork.mhlw.go.jp/assist/001000.do?screenId=001000&action=initDisp
雇用保険の被保険者Q&A
では、次のような場合、雇用保険の被保険者となるでしょうか。
Q.個人事業主は?
A.個人事業主は、雇用保険の被保険者となりません。
[補足]労災では特別加入の制度があります。
Q.法人の代表者(代表取締役等)は?
A.法人の代表者は、雇用保険の被保険者となりません。
[補足]労災では特別加入の制度があります。
Q.役員は?
A.労働者的性格の強い役員は、雇用保険の被保険者となります。
(労働者敵性格の強い役員とは、職務内容がほかの労働者と同一であり、その労働の対価として報酬が支払われている役員をいいます)
[補足]労災保険にも加入できます。
Q.役員と同居の親族は?
A.原則として雇用保険の被保険者となりません。
Q.在宅勤務者は?
A.事業所に勤務する者と同様の就業規則等が適用される場合は、雇用保険の被保険者となります。
Q.2以上の事業所で雇用される者は?
A.主たる賃金を受ける事業所でのみ、雇用保険の加入ができます(65歳以上の例外あり)。
Q.長期欠勤中の者は?
A.雇用関係が継続する限り、雇用保険の被保険者となります。
Q.外国人は?
A.日本に在住する外国人は、国籍を問わず雇用保険の被保険者となります。
いかがでしょうか。
社会保険と雇用保険では、加入条件が違うので、
各従業員について適切な手続きを行うことが必要になります。
加入条件をもっと詳しく知りたい、手続きを行いたいが分からない点がある、
といった場合には、当事務所まで、ご相談ください。