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社会保険の被保険者となる条件について

前回は、事業所に重心を置いて、社会保険の強制適用事業所と任意適用事業所について、

そして任意適用を申請する方法について説明いたしました。

今回は従業員に重心を置き、どのような従業員が社会保険の加入対象者となるのかについて説明していきます。

 

無条件で加入対象者となる従業員は?

その事業所に勤める人が、いわゆる月給で雇われている正社員である場合、

原則としてその職場の社会保険に加入し、被保険者となります。

この場合、国籍や性別、賃金などに関わらず、そのすべての対象者が加入者となります。

 

パート・アルバイトの加入条件は?

月給で働く正社員は無条件で加入者となりますが、時給や日給で働くパート・アルバイトには加入に条件があります。

この加入条件は、同じ事業所で同じ業務に従事する正社員の労働日数と労働時間によって決まります。

以下の労働日数と労働時間の条件の両方を満たす場合、原則として被保険者となります。

①労働日数

1ヶ月の所定労働日数が正社員の4分の3以上である場合

②労働時間

1ヶ月の所定労働時間が正社員の4分の3以上である場合

例を挙げて見てみましょう。

また、平成28年9月までは、この条件が「おおむね4分の3以上」と曖昧な基準でしたが、

現在(2021年10月時点)では上記のように明確化されています。

 

被扶養者となる条件は?

被保険者に扶養している配偶者や家族がいる場合、被扶養者として被保険者と同じ健康保険に加入することが出来ます。

被扶養者は保険料が免除され、被保険者とほぼ同等の保険給付を受けることが出来ます。

この保険給付が行われる被扶養者の範囲は、まず被保険者と同一の世帯にあるかどうか

(同一の世帯とは、同居して家計をともにしている状態を言います)によって変わってきます。

①同一の世帯である場合

被保険者の「三親等以内の親族」と「内縁関係の配偶者の父母及び子」が対象となります。

内縁関係の配偶者、とは戸籍上婚姻の届出を出していないが、事実上婚姻関係と同様の人のことを指します。

②同一の世帯でない場合

被保険者の「配偶者」「子、孫および兄弟姉妹」「父母や祖父母など直系尊属」が対象となります。

次に、被扶養者として認められる条件として「被保険者の収入により生計を維持されていること」があります。

こちらも被保険者と同一の世帯にあるかどうかによって変わってきます。

①同一の世帯である場合

対象者の年間収入が130万未満であり、被保険者の年間収入の1/2未満であること。

②同一の世帯でない場合

対象者の年間収入が130万未満であり、被保険者からの援助額(仕送りなど)より少ないこと。

ただし、対象者が60歳以上かまたは障害年金を受けられる程度の障害者の場合は、

同一の世帯かどうかに関わらず年間収入が180万未満まで認められます。

 

いかがでしたでしょうか?

パート・アルバイトには社会保険を加入させなくてもいいようなイメージを抱きがちですが、

労働日数や時間によっては加入の対象者になり得ます。

また、最初は加入条件を満たしていなくても、業務に慣れてシフトに入る時間や日数が増え、

気づかぬうちに加入の条件を満たしていたなんてこともあります。

定期的に出勤簿やタイムカードの確認をし、該当する人がいる場合、加入の手続きをしましょう。

 

パートタイマーが社会保険の要件を満たしていないか確認したい、

従業員が結婚したが、その配偶者が扶養対象になるのか分からない、

など、社会保険の手続きでお困りの事業主さまはぜひ一度ご相談ください。

 

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