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失業保険の受給要件

今回は、雇用保険の失業等給付について、お話します。

雇用保険は、失業保険とも言われ、失業した際に給付が受けられることを、

ご存じの方は多いのではないでしょうか。

雇用保険の失業等給付には、失業した際に受ける基本手当以外にも、

教育訓練給付のように、在職中にも受けられる給付があります。

そこで、今回から2回にわたって、基本手当と教育訓練給付について、ご説明します。

 

基本手当とは

基本手当とは被保険者の方が、離職したときに、生活の心配をしないで、

新しい仕事を探し、再就職できるように支給されるものです。

 

受給資格要件

では、どんな人が受けられる給付なのでしょうか。

要件1.

ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、

いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、

職業に就くことができない「失業の状態」にあること。

したがって、次のような状態にあるときは、基本手当を受けることができません。

・病気やけがのため、すぐには就職できないとき

・妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき

・定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき

・結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき

要件2.

以下の表にまとめました。

原則離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12か月以上ある人
特例特定受給資格者又は特定理由離職者であって、 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上ある人

※特定受給資格者、特定理由離職者に関してはこちらをご覧ください。

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html

 

算定対象期間について

上の表の離職日以前2年間や1年間という期間(算定対象期間)には、

病気などで30日以上賃金の支払いを受け取ることができなかった人の場合、

その賃金の支払いを受け取ることができなかった期間を加算することができます。

被保険者期間について

被保険者期間とは、離職日からさかのぼって1か月ごと

(9/25退職の場合、8/26~9/25、7/26~8/25、6/26~7/25・・・)の間に

  • 賃金支払の基礎となった日数が11日ある月
  • 賃金支払の基礎となった時間が80時間ある月

を1か月と数えます。

 

手続きの流れ

手続きの流れを以下の図に示します。

受給期間

受給期間とは、基本手当の支給を受けることができる期間をいいます。

 原則定年退職者等の特例妊婦、出産等の特例
一般被保険者1年最長2年最長4年
就職困難者 (所定給付日数360日)1年+60日最長2年+60日最長4年
特定受給資格者 (所定給付日数330日)1年+30日 -最長4年

上記表の日数は、離職した日の翌日からカウントします。

 

所定給付日数

上記受給期間内で、実際に給付をもらえる日数の限度を所定給付日数といいます。

算定基礎期間(雇用保険の被保険者であった期間)10年未満10年以上20年未満20年以上
全年齢90日120日150日

※就職困難者、特定受給資格者に関してはこちらをご覧ください。

https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html

 

支給額

雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。

この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金

(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)

のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。

基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は以下の表のようになっています。

30歳未満6,760円
30歳以上45歳未満7,510円
45歳以上60歳未満8,265円
60歳以上65歳未満7,096円

 

不正受給

偽りその他不正の行為で基本手当等を受けたり、又は受けようとした場合には、

以後これらの基本手当等を受けることができなくなるほか、その返還を命ぜられます。

更に、原則として、返還を命じた不正受給金額とは別に、

直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付を命ぜられることとなります。

 

いかがでしょうか。

基本手当の受給要件や給付日数は複雑なところもあります。

もっと詳しく知りたいと思われた方は、当事務所までご相談ください。