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求職者の欲しい情報が届いているか?~求人を出しても応募がこない会社が見直すべき2つのポイント

少子高齢化が進み、人手不足が深刻な状況となっています。

内閣府が発表した資料「令和4年版高齢社会白書(2022)」によると、
生産年齢人口(15~64歳)は1995年をピーク(8,716万人)に減少しており、
2024年現在で7,200万人程度、これが2030年には6,875万人、
さらに2050年には5,275万人まで減少すると見込まれています。

今から5年後には350万人ほどが減少するとすれば、
この人数は、静岡県(360万人)の人口に相当します。

働き手が減っていく中で、人材を獲得して事業継続していかなければいけないわけですが、
決して「働いてくれれば誰でもいい」わけではありません。
「良い人材を獲得したい」となれば採用のハードルはさらに上がるでしょう。

雇用のミスマッチを減らすためには、
自社にとって「良い人材」とはどのような人を指すのか?
といったことを明確にすることも重要です。
その上で、いかに人材を確保していくのかの戦略を立てていきましょう。

仮に今すぐ「良い人材」に出逢えなかったとしても、
状況によっては社内で育成していくという方法もあります。

いずれにせよ、自社の採用計画や育成計画に基づき選択をしていくことになるでしょう。

今回はまず人材を確保するための準備編として、求人情報に焦点を当ててお伝えします。


求職者に「求人情報」が届くこと

今は売り手市場で、新卒採用にしても転職市場にしても、求人が溢れている状況です。

まずは、求人の波の中にいる求職者の目に「御社の求人情報が届いているのか?」を点検しましょう。

例えば店の前に「アルバイト募集」というチラシを貼っているとします。

当然ですが、お店の前を歩く人しかこのチラシを見ることができませんよね。
どこにいても手元でいくらでも情報が取れる時代に、
「お店の前を歩く」ことでしか情報が得られないのでは圧倒的に不利です。

これでは、求職者に情報が届いているとは言えません。

他の例でも考えてみます。

チラシに加えて、お店のホームページでアルバイト募集を打ち出しているとしましょう。
ですが、「アルバイト募集!詳しくはこちらまで→電話番号」という情報だったとしたらどうですか?

求職者は、数ある求人の中である程度の情報や条件を比較検討して、応募に進みます。
せっかくホームページで求人情報を得られたとしても、
「御社がどのような会社で、どのようなスタッフがいて、
どのような条件で、どのような仕事や働き方ができるのか」が分からなければ、
「よし応募してみよう」とはなりません。

これは求人情報に限ったことではなく、何も情報がない中で選択や決断をすることは誰であっても不安に感じますよね。

ましてや情報が溢れ、数多くの選択肢(就職先)がある中で、「よく分からない」ところに飛び込む人はいないでしょう。

まずは、入り口を広く準備しておくことです。

求人情報を出しているからといって応募者が来るとは限りませんが、情報を出していないところに人は来ません。

何かあればすぐスマートフォンで検索するのが現代です。

ハローワークで興味のある仕事を見つけた求職者は、たいていの場合、その場で事業所名を検索し、
自分が働くかもしれない会社についての情報取集を行います。


仮に興味のある事業所が複数あった場合、求職者はどの事業所を選択する可能性が高いでしょうか?

A:ホームページもなく何の情報も得られない事業所

B:ホームページはあるが、情報が乏しく、更新もされていない事業所

C:ホームページに情報が漏れなく掲載されており、温かみのある雰囲気が伝わる事業所

言うまでもなくCの会社が有利になるでしょう。


求職者が「応募したい」と思える情報が届くこと

上記のような理由や動向からも、
最近ではリクルート用(求職者向け)の特設サイトを作成する企業も増えてきています。

ホームページの役割としては消費者向けのP Rの場として使われることが一般的ですが、
消費者とは異なる求職者がターゲットとなる場合に、伝えたい情報や会社の雰囲気は異なってくるはずです。

どちらも御社のことをよく知ってもらいファンになってもらう、という意味では同じですが、
消費者の購買行動を促す目的と、求職者の応募を促す目的とでは異なりますので、情報を区分して使い分けることが効果的でしょう。

では、リクルート用サイトでは何を情報提供すればいいのでしょうか?

よくあるものが以下のようなコンテンツです。

・企業理念

・社長メッセージ

・先輩社員のコメントや活躍の様子

採用を目的とするだけでなく、企業PR用として1本の紹介動画を作っておくことはマーケティング的にもとても役に立ちます。

ただこれだけだと「P R用に作りました!」といったわざとらしさも見透かされてしまい、
逆に「何か裏があるのではないか」と思われてしまう恐れもあります。

ですので、採用のミスマッチを防止や入社後の定着まで考えた時に、完成された動画以外にも、
経営者の等身大の姿や企業のありのままを見せていく必要もあるでしょう。


企業と求職者をつなぐ架け橋としてのS N S活用

現代のリクルート手法としてよく用いられて効果を挙げているものが、
X(旧Twitter)インスタグラムなどのSNSです。

企業の公式アカウントとして発信されているものもあれば、
広報や採用担当者のアカウントで発信されているものもあります。

なかなか外からは見えづらい企業活動の中身がわかる投稿や、
日常のつぶやきの投稿など、緩急をつけた発信で、
消費者や求職者の心を掴む手法が活用されています。

「ホームページもままならない中でS NSの運用なんて無理だ」と思う企業もあるかもしれませんが、
人材の獲得やファンの心を掴むためにもなくてはならない手段になってきていると言えます。

使い方としては、経営者が日頃の活動や想いを伝えるのであればX
社員が日頃の仕事内容や職場の雰囲気を伝えるのであればインスタグラムが良いでしょう。

各種S N Sをフォローしてくれる人(フォロワー)は、少なからず御社に興味を持ってくれている人です。
フォロワーに向けての日々の発信は、顧客との関係性を高めていくことにもなりますし、
フォロワーが増えることで求職者にも情報が届きやすくなり、SNS上での求人情報掲載にも反応が得られます。

さらに、フォロワーが応募者となる場合は、事前にある程度の企業情報を理解してくれているため、
ミスマッチが生じにくいのもメリットになります。

「求人を出しても応募がこない」と悩む前に、
そもそも「求職者の欲しい情報が届いているか?」をチェックして、
リクルート活動に取り組んでいきましょう。