今どきの人事評価制度の在り方1│目的なき制度は飾りになる
近年の人材不足や年功序列型からジョブ型雇用への移行などによって、人事評価制度の必要性が高まってきています。
しかし
どう作ればいいのか分からない
作ったけどうまく機能していない
といった悩みは多くあります。
そこで今回は5回にわたり、人事制度の目的から運用までお伝えいたします。
人事評価制度を作る目的を明確にする
人事評価制度を作るうえでとても重要になってくるのが、作る目的です。
皆さんは「3人のレンガ職人」という話をご存じでしょうか?
旅人がとある村に訪れると、3人の男がレンガを積み上げていました。
夏の暑い日に男たちは汗びっしょりかきながら、黙々と積み上げています。
まず一人目の男に「ここで一体何をしているのですか?」と尋ねると
「親方に言われてレンガを積んでるんだよ。暑くて大変だから早く帰りたい。」
次に二人目の男に同じ質問を投げかけると、
「仕事だからレンガを積んでるんだよ。次の給料日が楽しみだ」
今度は三人目の男にも同じ質問をすると、
「レンガを積んで後世に残る大聖堂を造ってるんだ。こんな仕事ができてとても光栄だよ」
三人の「レンガを積む」という行動は、外部から見ると同じです。
しかし動機が全く異なります。
仮にこの大聖堂が完成したとして、大聖堂を作って仕事している三人目の男が造ったものは、数百年後もびくともしない状態で維持される一方、一人目の親方に命令されたから仕事している男が造ったものは、もしかしたら数年後には補修が必要になってくるかもしれません。
人事評価制度も同じです。
どういう動機(目的)で作っていくのかがとても重要です。
その動機(目的)によって行動も大きく変わってくるからです。
では、人事評価制度の目的はどんなことが上げられるのでしょうか。
人事評価制度の目的の定め方
企業のビジョンに合わせた人事評価制度の目的を作る必要がありますが、参考になるように代表的な事例を紹介します。
・経営理念を浸透させ、ベクトルを合わせる(企業全体)
・客観的な評価をし、不公平感をなくす(企業全体)
・目標と結果のPDCAを図り積極的なキャリア形成を促す(個人)
・評価の形を作り、評価者の再現性を上げる(評価者)
・定期的な1on1によってトラブルを未然に防ぐ(評価者)
親方に命令されて仕事をしている一人目のレンガ職人が人事評価制度を作った場合、作って終わりになるでしょう。
では、大聖堂を作る仕事をしている三人目のレンガ職人が作った人事評価制度の場合、
効果的な人事評価をすることによって
・必要な人材が明確になり、採用がしやすくなる
・企業理念にマッチした人材が残り、士気が高くなる
・不満が減ることで離職率が減少し、採用コストが下がる
・知的好奇心をくすぐり、自走する人材、チームが出来上がる
・トラブルが減ることで総務部、人事部が楽をする
・心理的安全性が高まることで生産性が上がる
という結果になる可能性は大いにあるのではないでしょうか。
これから先、自社がどのような未来を描きたいのかを明確にしたうえで、
「なぜ人事評価制度を作るのか」
「作ったことによってどんなことを期待するのか」
を決めていくことによって人事評価制度の効果は大きく変わっていくでしょう。
まとめ
人事評価を作るということは、経営者が自社の成長をどのように描いているのかに関わってきます。
経営理念・ビジョン・ミッション・キャッチコピーなど、会社を表現する定義や言葉は沢山あります。
次回の記事で、人事評価制度を作る上で重要な3つの理念の作り方を解説します。
経営理念を作っていない
経営理念を作ったけど正解か分からない
経営理念を作ったけどしっくりきていない
そのような方は、ぜひ次の記事を参考に3つの理念づくりに挑戦してみてください。
最初から完璧に作る必要はありません。
何度修正してもよいのです。
人事評価制度をつくるためには目的を定めることの重要性を感じていただけたと思います。
人事評価制度の在り方の記事を通して、自社の変化に繋がる人事評価制度を作れるようになりましょう。