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今どきの人事評価制度の在り方3|制度設計

過去2回において「目的を定めることの重要性」「経営理念など会社として方向性を示す重要性」を解説してきました。

今どきの人事評価制度の在り方1│目的なき制度は飾りになる

今どきの人事制度の在り方2|会社の正解を決める

次の段階は、その指標を設計していく工程です。

人事評価のゴールは社員を評価するだけではありません

社員の個性とキャリアを育成していくことにも役立ちます。

評価を可視化し共有することでPDCAがまわり、効果的な人事評価制度となっていきます。

そこで今回は、効果的な人事評価制度の設計をするために重要な項目についてお伝えしていきます。

目標設定と評価基準

評価は一時的な結果ではなく、中長期的なキャリアアップに対するマイルストーンであるという認識が評価者、被評価者にも必要です。

社員ごとに中長期的な目標を設定し、その後に1年もしくは半年・四半期ごとの明確な業績目標を設定することが持続可能なモチベーションを生む秘訣となります。

また目標設定は定性的なものではなく、定量的(数字で表せるもの)であることも人事評価制度を上手くまわす基本です。

業種によっては定量的な評価がしにくいものもあります。

定量的な評価が難しい場合は、主観的な評価を数値化することを検討されてみてください。

数値化することで、評価の透明性が向上し、従業員が自分の業績を理解しやすくなります。

評価方法

公平性を一番重視するのであれば「360度評価」が最適です。

360度評価とは、上司、部下、同僚など複数人の評価者で社員を評価する手法で、多面評価と呼ばれることもあります。

上司に対する態度と同僚・部下に対する態度が違うということはよくあることですので、様々な角度から評価の可視化がすることが可能です。

一方、デメリットとすれば手間がかかるということです。

一度に複数を評価することになりますので、時間もかかり、集計も必要になってきます。

また、マネジメント教育がきちんとなされていない同僚・部下によっては、辛辣な評価をする場合もありますので、評価する際に建設的なコメントを記入するように伝えることも重要です。

報酬(昇給・賞与)と昇進の連動

評価結果に基づいて報酬や昇進の機会を提供することが、社員のモチベーションを高める要素です。

ここで評価をできるだけ数値化することの重要性が効いてきます。

給与査定や昇進の基準が透明化・共有されることで、最後の一踏ん張りや評価に対する進捗管理もしやすくなります。

また、キャリアアップと将来の賃金推移が分かると、社員が長期的なライフプランも立てやすくなり、自社にいることが自分の人生に有利だということが認識してもらいやすくなるため、離職防止にも役立ちます。

フィードバックとキャリア開発計画

評価するだけでなく、評価結果に基づいて社員に具体的なフィードバックを提供し、キャリアアップに活かす計画を立てることが重要です。

建設的なメッセージでフィードバックをすることは前段でお伝えしましたが、同時に中長期的な目標も常に意識させることも重要です。

目先の評価にとらわれてしまうと、自分が見えなくなり個性も発揮できなくなってきますのが、定期的な評価に一喜一憂させない工夫も必要になってきます。

多様性と包括性

多様な働き方が求められている時代において、評価制度が多様性(さまざまなあり方)と包括性(考え方の違いを取りまとめること)を考慮していることも重要です。

パートタイマーや定年退職後の再雇用などの雇用形態の違いにおいてもそうですし、あらゆるバックグラウンドや経験を持つ従業員に対して公平で偏りのない評価を行うことが求められます。

法令とコンプライアンス

評価制度は法令や労働規則に準拠している必要があります。

労働法や平等機会法などの法的な要件を確認し、コンプライアンスを確保することが不可欠です。

例えば、目標を達成するために、労働時間や休日関係なく働くことを善しとした場合、評価制度のあり方に問題をきたすだけでなく、会社の存続にも影響してくる事態となります。

また法改正によって評価制度が適さなくなることもありますので、定期的な見直しも必要になってきます

まとめ

今回は、人事評価制度の項目において重要な点をお伝えしてきました。

社内だけでなく、外部の専門家のアドバイスを受ける上においても重要な視点です。

人事評価においては、中長期的な会社としての方向性が重要になってきます。

前回までの記事を参考にしながら、人事評価制度の枠組みを組み立てていきましょう。

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