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今どきの人事評価制度の在り方5|効果的な運用と定着

人事評価制度の目的が決まり、制度設計が終わり、評価者の適性も理解できましたら、最後は人事評価制度の運用と定着について準備をしていきましょう。

せっかく人事評価制度を作ったものの、スタッフに「今後は人事評価制度を活用していきます」と公表したときにスタッフの皆さんはどのような顔をするでしょうか?

あまり良いイメージを思い浮かべられないのでしたら、今回の話を参考にされてください。

人事評価制度の運用を軌道にのせていき、定着させていくのかをお伝えしていきます。

制度の運用と定着を阻む2つの壁

制度の運用と定着を阻む壁は「衛生要因」「動機づけ要因」です。

しかし、2つの要因を理解し対策案を制度に盛り込むことができれば、制度は滞りなく運用され会社に定着していきます。

逆に2つの壁となる要因を理解しておかないと、制度が形骸化されてしまったり、社員の不満をうむことになります。

人事評価制度の運用において壁となる「衛生要因」と「動機づけ要因」の2つの要因はハーズバーグの二大要因理論にあてはまります。

かんたんにいうと、職場におけるさまざまな要因が社員の心理面にどのような作用をおよぼすのかを2種類に分類したものです。

2つの要因を理解することが制度運用の鍵につながります。

衛生要因とは

衛生要因とは、その要因が満たされないと不満を抱きますが、満たされれば満たされるほどやる気も高まっていくものでもありません。

・給与
・労働条件
・福利厚生
・経営方針
・人事労務体制
・職場の人間関係

求人票などで記載する、上記のような項目を衛生要因といいます。

動機づけ要因とは

一方、動機づけ要因はそれらの要因が満たされなかったとしても不満足につながることは少ないですが、満たされれば満たされるほどやる気の向上につながります。

・達成感
・承認
・昇進昇格
・責任
・チャレンジの機会


仮に、人事評価制度を運営していくことを伝えた際に、社員の顔がくもったのであれば「衛生要因」が満たされていない可能性があります。

「衛生要因」を改善しないまま人事評価制度を強行した場合、やらされ感やモチベーション低下を招くことも考えられます。

競合他社の条件面と比較して見直してみたり、自社の強みを強調するなどの改善が必要です。

そして、更に重要なことは

人事評価制度の意図を社員に伝えること

社員のキャリアや人生にとってプラスに働くこと

これらに理解を持ってもらうことです。

人事制度を定着させる3つのポイント

人事制度を定着させる3つのポイントは「短いスパン」「コツコツ」「納得度の計測」です。

短いスパンで

・細かいPDCAが向上心を加速させる、
・振り返りは四半期ごとに
・細かい変化を実感させる

コツコツ

・無理しない、堅苦しくならない
・まずは5割の7割の完成度を目指す
・「1オン1」面談なら10分でも15分からでも始めてみる

納得度の計測

・評価制度の仕組みに納得できているか
・評価結果の説明に納得ができているか
・「1オン1」面談を受けることで成長意欲を感じられている

このように人事評価制度を定着させるためのポイントを踏まえながら、制度の定着を進めて欲しいと思います。

運用・定着の課題を改善した事例

とある企業の課長は20人ほどの部下を抱えていました。

人事評価制度を浸透定着させるうえで、これまでを振り返り、日頃のコミュニケーションのあり方を変えることにしました。

人事評価制度導入前までは、何か用事があると部下を課長の席まで呼んでいました。

その当時、課長が思っていたこと。

20人の大所帯がゆえに一人一人に時間をかけられないせいか、部下との間に距離を感じていました。

そのため、人事制度導入をきっかけに大きく部下との関わり方を変えます。

それは課長席まで部下を呼ぶのではなく、課長自身が部下の席まで行くということでした。

ちょこんと座れる椅子を抱え、一人一人のデスクをまわります。

一人につき5分程度ではありましたが、その行動は大きな変化をもたらしました。

それは、目線の高さが同じで、部下との距離が近くなったので日々の表情の変化に気づくようになったことです。

最初は違和感を感じていた部下も、課長の関わり方を通して積極的に相談をするようになってきました。

5分程度ですが、部下と同じ目線で頻繁に話をすることで、部下の考え方の癖や個性を知ることができるようになりました。

結果として2か月に1回の1オン1面談時には、アイスブレークをすることなく本題に入ることで時間も有効に使うことができるようになり、日々の情報があるので会社の目標や個人の成長に関する話までできるようになり多面的な評価ができるようになりました。

目標も、部下だけの目標ではなく、課長と一緒に達成する課の目標を達成する捉え方になったことで、1年後、この課の年間営業目標を大きく超えて200%達成となりました。

課長の部下への関わり方が組織を大きく変えていった事例です。

まとめ

5回に渡り、今どきの人事評価制度の在り方について話をしてきました。

どのような評価制度を作るかは、人事評価制度に対する目的・考え方、評価者がどうあるべきか、それによって自社に見合う制度作りが変わってくるということです。

人事評価制度は評価を賃金・賞与に反映させるためだけの制度ではありません。

重きを置くべきは、会社のビジョン実現のためであり、会社のビジョン実現を通じて個人の成長を促すためです。

よって、評価制度を作ったらすぐに賃金・賞与に反映させるのではなく、人事評価制度をまず走らせてみて社員からフィードバックをもらいましょう。

納得度が概ね半数を超えて評価制度が整った時点で賃金・賞与への反映へと移るとよいでしょう。

人事評価制度を、会社の成長と会社を支えるスタッフの成長のきっかけにするツールとしてご活用いただきたいと考えます。

ただ、人事評価制度を社内の人間だけで作るのが不安な場合もあるでしょう。

人事評価制度作りの実績もあり、他社の事例も踏まえながら客観的な視点と法律にも精通した専門家のサポートを受けたい場合は、弊社の「社外人事部」サービスにお気軽にお問い合わせください。

あなたの会社にあわせた人事評価制度に向けてサポートさせていただきます。

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