経営者の右腕・左腕づくりの神髄3
前回は、税理士や社会保険労務士を右腕・左腕にする例をあげました。
外部の専門家を右腕・左腕にするということは問題に対して手っ取り早く対処できることや、
問題が解決し必要となくなった場合にすぐに切れる(契約解除)というメリットがあります。
しかし、外部の人間を右腕・左腕にするには決定的なデメリットがあります。
それは、外部の人間であるため終始社内の状況を把握できていないため、
社内の内部に潜む真の課題や問題を的確に抽出できるとは言えないことにあります。
やはり、自社の社員を育てていくことこそ本当の経営者の右腕・左腕なのかもしれません。
右腕・左腕になる社員を育成する方法
そこで今回は社員を右腕・左腕に育てていくための考え方についてお伝えします。
候補者の選定にあたり、確認しておくべきこと
経営者の右腕・左腕になる存在とはどのような特性が必要なのでしょうか。
私は下記の4つがとても重要だと思っています。
- 経営者とベクトルが合っているか
- 自主的な学びを行なっているか
- 人の意見を聞く耳を持っているか
- 相乗効果を生む思考ができるか
1. 経営者とベクトルが合っているか
向かう先が全く異なっていればそもそも会社は一つになることはできません。
そればかりか、それ以下の立場の社員は混乱をきたします。
登る方法は違えど、到達する頂上は経営者も右腕・左腕候補の方もベクトルは同じでなければなりません。
それが結果として、目標の共有と理解が円滑にコミュニケーションを進める基盤となります。
お互いが同じ目指す方向を共有していることで、情報の伝達や意思決定が迅速かつ効果的に行われます。
同じ方向性を向くことで、組織全体の協調性が高まり、業務の効率性が向上します。
2. 自主的な学びを行なっているか
経営は突き詰めてもゴールはありません。
経営者はそれを知っているからこそ、常に学び、人と出会い研鑽を続けていきます。
一方で、学びを止めている人はどこかで自分を諦めたり、現状に満足しているところがあります。
自主的な学びの重要性は、新たな知識やスキルを習得するだけではありません。
・自らの成長を追求する精神を育むことにつながる
・周囲に刺激を与え見習うべき存在となる(目標とする人・メンター)
・学びを重ねることで、新たな伸びしろができる
自主的な学びを行う人に、信頼感が生まれ、部下もついていきたい存在となっていきます。
3. 人の意見を聞く耳を持っているか
組織の中ではさまざまな意見が上がってきます。
プラスの意見ばかりでなく、時にはマイナスの意見も上がってきます。
耳の痛い話でもきちんと向き合い、課題を会社や自身の成長の糧にできるかどうかでその後は大きく変わってきます。
異なる視点や意見を収集することで、多様なアイデアや切り口を得ることができます。
経営者が自らの意見だけに固執せず、周囲の意見を真摯に聞く姿勢を持つことで、
イノベーションが促進され、新たなビジネス戦略やアプローチが生まれます。
4. 相乗効果を生む思考ができるか
終身雇用がなくなり、いろいろな経験や職歴を持った人事を獲得しやすくなった近年、
自社が成長する上で必要な人材は異色な経歴を持った方なのかもしれません。
一つのことをやってきた人材は即戦力として使えるかもしれませんが、
事業を拡大するという上では新しいことを覚えてもらうためには時間がかかります。
一方で全く違った経験を持った人材を採用することで、自社の業務を覚えるには時間がかかるかもしれませんが、
次の展開を考えた時にいかにその方の経験を活かせるかも重要となってきます。
自社が持つリソース(資産)とそれぞれの人材が持つリソース(経歴)をどう自社に落とし込み、発展させるか。
そういう視点で物事を考えられるようになった時、無限の可能性が広がっていきます。
まとめ
いかがでしょうか?
経営者の右腕・左腕へと成長する4つの特性を紹介してきました。
- 経営者とベクトルが合っているか
- 自主的な学びを行なっているか
- 人の意見を聞く耳を持っているか
- 相乗効果を生む思考ができるか
上記の特性を持っていることで、人は大きく成長できます。
そして一つの特性が伸びることで他の特性にも良い影響が出てきます。
全体を意識しながら一つ一つの特性の成長を促してみるのもいいかもしれません。