経営者の右腕・左腕づくりの神髄4
前回は、自社での右腕・左腕を選ぶ上での重要な4つの特性をお伝えしました。
候補者が重要な特性を多く持っているということは、
それだけご自身の参謀となる時期が早くなるというところでもありますが、
これから育てていくという方であればどういったところに気をつけて成長させるかお伝えしていきます。
課題の選定とビジョンの共有
御社の5年後、10年後の夢や目標は何でしょうか?
またその夢や目標に対して必要となってくるリソース(資源、財源、特長)は何でしょうか?
経営者であればこの問いに対して、さまざまなお考えがあることでしょう。
では、その夢や目標を達成する中で、「ご自身でできないこと」「できるようになるには時間がかかるもの」があるかと思います。
まずはそこに対して右腕・左腕候補の方を当てはめてみましょう。
課題に対して候補者がしっくりはまる可能性もありますし、足りない部分は他で補っていく必要があります。
もし少しでもはまる場合は、皆さんと候補者とでその未来のビジョンを共有していくことから始まります。
今のリソースの延長なのか、新しいリソースが必要なのかの明確化
すでに持っているリソースの延長なのであれば、候補者に経験を積ませ習熟させるだけなので
ここに対する課題は、いかに多くの経験を積ませるかだけとなってきます。
候補者が新しいリソース(知識・経験)を必要とするのであれば、誰がそのリソースを与えていくかが重要となってきます。
一方、経営者ご自身がすでにお持ちのリソースであれば、それを候補者に習熟させることが第一選択となります。
その場合に意識しなければならないことは「ご自身の分身を作らない」ということです。
経営者ご自身の考えを押し付けることなく、候補者の個性を活かしながら、
自由な発想と選択肢を与えることで思いもよらない相乗効果が起きる可能性が期待できます。
新しいリソースが必要な場合
今度は、経営者ご自身が、候補者に習熟させるリソース(知識・経験)を持ち合わせていない場合の対応を考えていきましょう。
手っ取り早く効率的なのは外部の講座を受けさせるのが一番です。
その際に経営者が受けさせたい講座を決め受講させること、候補者が受けたい講座を決め受講する、
といったどちらか一方のみで講座の受講先を決めないことです。インターネット時代になり、あまねく講座が世に出ています。
特に今のインターネット広告は検索履歴を抽出して広告が表示されたり、
ランディングページも顧客心理を上手に操った内容となっており、その時の感情のままにポチっとしてしまいがちです。
感情的に受講を決めるのではなく、一度立ち止まって経営者、候補者両方の視点から講座受講を決めることが大切になってきます。
人材育成に予算を充てる
人材育成は投資です。
よって金銭的・時間的コストを掛けながらいかにリターンを求めていくのかという視点は事業運営と同じです。
予算計画を立て、定期的に振り返りをしながら費用対効果を把握しておくことが重要です
しかし、すぐに結果がでない人材育成において費用対効果を図るとは、どのように計画を立てるとよいのかの考え方を紹介します。
人材育成における投資の考え方
人材育成における投資の考え方で抑えるポイントを4つ紹介していきます。
1.投資とリターンのバランス
さまざまなコスト(金銭、時間、モノなど)を投資と捉え、その対価として得られるリターンを考慮します。
前に記述した通り、適切な研修やプログラムに予算を充てることで、候補者の能力向上や生産性向上が期待できますが、
講座を受講する場合にはそれに対するリターンを考慮しておくことが必要です。
2.長期的視点
継続した成長を期待するのであれば、長期にわたる投資が必要となってきます。
将来の成長や競争力向上を考慮し、単年度での支出ではなく、複数年にわたる長期的な視点で予算を配分します。
3.トータルコストの評価
金銭的コストは研修やプログラムの受講料だけでなく、参加者の労働時間や交通費なども含まれます。
トータルコストを評価し、効果的な予算配分を行うことが大切です。
4.評価と改善
予算を充てた人材育成プログラムの効果を評価し、改善点を特定します。
投資した金銭的コストがどれだけ効果をもたらしたかを定量的・定性的に評価し、次回の予算配分に活かします。
まとめ
いかがでしょうか。
自社の人材を経営者の右腕・左腕に育てていくためには様々な観点が必要となってきます。
今回は「課題の選定とビジョンの共有」「人材育成への投資」という2つのテーマから、右腕・左腕への育成方法を紹介しました。
経営者に必要な4つの要素に「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」とありますが、その中でも「人材」は「人財」と呼ばれるように、
様々なコストをかけ、愛情もって育てることで、個人の成長が何倍にも変わってきます。
個人個人の成長の先に会社の発展へとつながっていくのです。